七夕に降る雨
泊まっても、翌日、結局電話で呼び出され、中途半端に終わる二人の時間。

何度かあったそんな週末を、繰り返したくなかったのだろうか。


「彼氏とバーゲン、バーゲンを取りますか?冷たいなぁ、茉莉ちゃん。」


「冷たいんです。知らなかったの?」


しれぇっと言い捨て、ベランダから出ていった。


「来週から忙しくなるんだ。連絡取れなかったらごめんね。」


玄関で笑顔を浮かべて謝った。


「バーゲン?」


「そ。毎日日替わりでゲットだからね。」


ガッツポーズを決めた。


「本当に帰んの?」


「帰るよ?何?」


グッと腰を引き寄せ、重ねた唇に素直に反応を返す。


「泊まって?」


耳元で囁く俺に、茉莉は笑顔で答えた。




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