甘恋~アマコイ~

トオルくんはとても話しやすかった。
優しくて、でも……どこか寂しそうな目をしていて。
フられたばかりのあたしの傷を癒すための話し相手にはちょうどよかった。
でも、それだけの気持ちじゃなかった。

なんとなくだけど。
トオルくんといるとあたしは素直になれた。
じゃれあったり、真剣な話をしたり。

結局あたしはトオルくん以外の人とは口を利かなかった。
トオルくんも、あたしだけと話した。

この時から……。
思えば出会いは合コンだったね。
あたし達は始まりを迎えていたんだ。
もう、すでに。

トオルくんにとって……
あたしはどんな存在だったのかな。
もう、聞けないけどね。

< 12 / 56 >

この作品をシェア

pagetop