相思相愛記念日
小さく溜め息をついてからドアを開けた。

鏡の前に立ち、自分の顔をじっと見つめてみる。


「どうする?」


聞いた所で答えはひとつ。


「帰ろ。」


手を洗い、騒ぎに続くドアを開けた。

真っ直ぐに出口に向かう。

振り返らない。

出口にいた店のお兄さんが笑顔で


「ありがとうございました〜。」


と頭を下げる。

背中で聞きながら外に出た。


「寒っ。」


ポンチョを忘れたことに気付いても、取りに戻るつもりはない。

バッグを胸にしっかり抱え、とりあえず歩いた。


「帰るって………どこに帰るんだろ、私。」


私の家は、彼の家。

いや、元カレの家。

つまり、一緒に住んでいるわけで……。





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