コーヒーとふくれっつら
「ねぇ、健。」


「ん〜?」


探し物から逃げるように美里の髪に鼻を埋めた。












「それ、捨てた。」










思いがけない台詞に反応できない俺。


「ん〜、何を?」


相変わらず腰に回した手を離さずに、柔らかな香りに酔いそうになっていた。


「メモ。…………だって、女の人の名前だったから。」


「………………ごめん。も一回、良い?」


髪に鼻を埋めたまま、とりあえず確認してみる。


「健が探してるメモ。棚の下に落ちてたメモ。私が捨てた。だって………」


内容のわりには何故か強気な口調……。


「だって、嫌だったから。」


「何が?」


「……………だって。」



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