コーヒーとふくれっつら
「ちょっとこっち来て。」


腰に回した手を離し、食パンをキッチンに下ろし、手を引いてリビングに戻る。


「ここにあったメモ?」


顔を覗き込む。


「………ここに落ちてた。」


「白くて、緑のペンで書いてあるメモ?」


「そう。白くて、緑のペンで書いてあるメモ。」


困り顔の俺がだんだん真顔になるにつれ、美里の表情は歪み始めた。


「捨てたって、どこに?」


「…………。」


「…………これか?」


近くのゴミ箱に手を伸ばそうとした俺を、少し震え始めた声が止めた。


「ごみ…………外出した。」


「出した!?外!?」


思わず声が大きくなる。


「だって!」


つられたかのように震え始めた声で叫ぶ美里。



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