優しい告白
やっぱり……
「あっ………ごめんなさい。」


「いや、俺こそ……。大丈夫?」


「大丈夫です。」


「え………と、これ。」


「ありがと。」


差し出した帽子を受け取ると、ちょっとだけ迷った顔して私を見下ろした。

何を迷ってるのかは知らない。

だから、座りなおしてうつ向いた。


「塁さん、行きますよ?」


「あぁ、今行く。」


返事を返しながら、体の向きを変え、私から遠ざかっていった。


「はぁ…………痛いんですけど。」


溜め息をつきながら、左耳の上を摩る。

隣の座席に座っていた人が立ち上がった。

その拍子に、その人の膝から帽子が落ちた。

拾おうと屈み、頭を上げた所に落ちてきたその人の肩。




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