優しい告白
思いきりその肩とぶつかった私の頭。

はずみだから、何の手加減もなくて、目から火花が散った。

っていうのは少し大袈裟だけれど、そのくらい痛かった。

だからと言って、悪気があるわけじゃないから怒るに怒れない。

しかも、皆がこっちを見てる。

私………ではなく、私にぶつかったこの人を。

怒れるわけがない。

胸の奥がぎゅっと痛くって、頭の痛さなんかどうでも良かった。

じっと見つめる視線から逃れるようにうつ向いた。

やっぱり、やめておけば良かった。


「一緒に観ようぜ。」


なんて軽く言うから。


「隣同士だぜぇ。」


なんて嬉しそうに笑うから。

つい、頷いてしまった。



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