優しい告白
私のいない世界
大学の講義が終わり、真っ直ぐに家に帰る。

今日の為に買ったワンピースとブーツ。

塁の好きなグリーンがメインのワンピース。

バイト代全部はたいてしまったけど、ちっとももったいなくない。


「可愛いじゃん。」


なんて言わないとは思うけど、心の中で呟いてくれればそれで充分。


『遅刻すんなよ』


送られてきたメールに返事を返し、家を出た。




電車を乗り継いで着いた劇場は、たくさんの人で賑やかだった。


「凄い……。」


改めて、人気の凄さに驚いた。

それでも、その時はまだ、一緒にミュージカルを観れる嬉しさで浮かれていた。
パンフレットを買って、一枚だけ渡されたチケットを手に座席に向かう。



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