愛情の距離
「お前、そんな指輪してたっけ?」
「ぅわ!」
またしても背後をとられた。
だからお兄ちゃんはいつも生徒に
「大奈先生は影が薄い」
って言われるんだよ。
「指輪だって?!」
反応したのはお父さん。
あたしは頷いて、お父さんとお母さんとお兄ちゃんに言った。
「あたし、大学行って、アメリカに留学する。…安藤尚と約束したの…」
3人は目を丸くしていたけど、少したって、お父さんが口を開いた。
「彼と、暮らすつもりか」
「………うん。」
お母さんが隣でニマニマしている。
完璧に楽しんでいるようだ。
逆に、お父さんとお兄ちゃんは真剣な顔をしていた。