愛情の距離



スッ──と温もりが離れる。

とたんにあたしは顔をあげて、
声の主を見つめる











「あ、あ……安藤尚?」



目が合ったその人は、優しい笑顔をあたしに向けていた。



「びっくりさせてごめん。
俺、夏奈の誤解を解きたくて、来ちゃった。」



「誤解?」



「あー、俺と話してるときに女きただろ、金髪の、ナンシーっていうんだけど。」



あ、あの人……



「あいつとは何もなくて、むしろ俺は夏奈と続いてるのかわからなかったから、連絡しなくて、ごめん。や、何が言いたいんだ、俺は」


「じゃあ、あたし達、別れてない?」


「俺の中では……
夏奈はどうなんだ?」


「別れたくないよ!あたし…あたし…ずっと、寂しくて。でも、続いてるっていう自信なくて………」



───ぎゅ───


あぁ、暖かいね……



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