Simpleな恋
「呼び捨てしないでください。」
「いいじゃん。」
「よくない!……先輩ちょっと、」
そう言って、女子たちが聞き耳を立てている教室を離れ
永迩先輩の腕を掴み廊下へ出た。
「何ですか!」
「…何で無視すんの。」
「えっ、」
「何で朝!無視したの?」
「む無視なんか…」
それは昨日のことがあるわけで、
昨日の今日じゃそんなすぐ話せなんて、無茶ぶりな。
「まあいいや、今日金曜日でしょ。結局昨日はアズアズ教えてくれなかったから」
そう言って目の前で委員会の紙をひらひらさせる。
「…………。」
「だから放課後書こうと思って。」
「………」
(放課後じゃ遅いじゃん…。)
「で、放課後アズアズ図書室来てね。」
「ええ…」
面倒臭い。早く帰りたいのに。
急に永迩先輩が顔を近づけてくる
そして耳元でこう言った…
「来ないと…分かるよね?」
脅しだ…………。
また亜豆は顔が青ざめていくのだった。