Simpleな恋
「すいません。三木永迩ってひといますか?」
「ん?永迩?ちょっと待ってねー」
そういうと3年のクラスの男子が
三木永迩を呼びに行く。
「えいじー。呼ばれてる。」
親指を私の方に向けて教室に消えていった。
「だあれー?」
これが三木永迩………。
見たことのある顔、
茶髪の揺るパーマに黒縁メガネがよく似合うイケメン。
たしか友達が騒いでいたような。
「何の用事?」
「…あっこれ、委員会の紙です。金曜日までにこれ書いて出してください。」
「ふーん…君1年生?名前は?」
「2年生です。名前は聞く必要あるんですか?」
「え!あるあるー大有りだよーおんなじ委員会なんでしょ?」
にこっと笑う三木永迩、
「…藤城です。」
「藤城さんねー。……これ何書けばいいの?」
「知りません。自分で考えてください。」
「え~藤城ちゃん冷たい。」
拗ねたような声でチャン付けしてくる。
「…じゃああたしはこれで。」
私は向きをかえて歩き出そうとした。
「待って!…」
「何ですか?」
「名前は?」
「えっ、だから藤…「下の名前!」
三木永迩が言葉を遮る。
私は振り返り
「亜豆です。」と一言言うと教室へ帰った。