虹に降る雨
「ううん。大丈夫。あったかい。」


本当に買って来てくれたカイロ。


「ねぇ、美羽?」


「ん?」


「泣きたいときは、泣いて良いんだよ?」


そう言って、私の頬をつまんだ。


「なんかあったんだ?」


どうして、彼はこんなに優しいんだろう。

そして、私はこんなに弱い。


「なんにもないよ。大丈夫。」


「…………そ?なら良いけど。」


嘘は難しい。

でもね、辛くても、笑わなくちゃならないときもあるんだよ。

美里ちゃんの不安が伝わってきて…………

私は、怖いんだ。

壊れた家族が繋がる保証なんて誰もしてくれないことを知ってるから。

見上げた空は、冬らしく、凛と澄んでいて、少しだけ、元気になった気がした。


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