虹に降る雨
微かな物音に目が覚めた。


「……りょ……くん?」


「あ…ごめん。起こしちゃった?」


寝室のドアを開けようとしていた彼が、笑顔で私の側に戻ってきた。


「喉渇いてさ、ちょっと水もらっても良い?」


「ん。」


枕元に膝まづき、顔を近くまで近付けた。


「すぐ戻ってくるから。ん?」


おでこにそっと唇を落とした。


「ん。」


私が小さく頷くのを確認すると、静かに部屋を出ていった。

不思議なことに、さっきまでの揺れる自分が陰を潜めていた。

いつもそうだった。

彼は、必ず私をみていてくれた。

どんなに忙しくても、出来る限り、朝の散歩に付き合ってくれる。


「おはよ。美羽。」


その一言で、私は、元気になれた。



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