虹に降る雨
「なんでも知ってんだ?」


「さあね。」


空を見上げながら、いつもの会話。


「あ、瞭くんチョコ食べるよね?」


「なんでも知ってんでしょ?」


「……意地悪。」


明日はバレンタイン。


「チョコ、くれんの?」


「明日、逢えたらね。」


「ハート型にして?」


「は……?」


「憧れだったんだ。ハートにホワイトチョコでなんか描いてあんの。」


わくわくした子供みたいな笑顔で私を見下ろす。


「何て描くの?」


「えっと………任せる。」

何か言いたそうにしたあと、唇をわざと閉じて笑った。


「わかった。任されました。」


「なんでも知ってんだもんな。」


ちょっぴり意地悪な笑顔で空に視線を戻した。



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