虹に降る雨
「俺も知ってる。」


「知ってる?」


「美羽が何て描くのか。」


「明日、やっぱり晴れたら良いね。」


「そうだね。」


私は、ひとりじゃない。

だから、雨の日だって空を見上げる。

側にいてくれる人がいるから。

涙を拭ってくれる人がいるから。










「瞭くん?」


「ん?」


「チョコ、たくさん貰うんでしょ?」


「貰うよ。でも、欲しいのはひとつだけ。」


優しい笑顔で空を見上げたまま、そっと膝におかれた私の手をとった。


「貰えると良いね。」


「…………下さい。」


ちょっぴり意地悪を言ってみる私の鼻をきゅっとつまんで笑った。




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