キミの魔法
季節は秋になった。
塾には行かなかった。
それこそ恥ずかしくて。
だから学校では神尾に教わったりもした。
神尾だけが、俺が大学を受けることを笑わずに聞いてくれたんだ。
担任にはバカにされた。
ぶん殴ってやりたい気持ちを押し殺して、真剣なんだと伝えた。
でも担任は未だに俺をバカにして落ちると決めつけているから、頼る気にはならないんだ。
「神尾は俺のことバカだって笑わねぇの?」
「バカだとは思うさ」
「はあ?」
「男は女の為だったらバカだって何だってやるもんなんだよ。だからそれを笑うことはしないよ。…なんてな」
何が『なんてな』だよ。
ちょっとかっこいいこと言った感じにしやがって。
かっこよくねぇんだよ。
でも正直やる気は出た。
俺ってバカな上に単純なんだな。