キミの魔法
その日1限をサボリ、進路資料室?に来てみた。
もちろん『南大』を調べに。
「南…、南…。」
こんな部屋俺が入ったことがあるわけもなく、どこに何があるのかなんてさっぱりだった。
赤本ってのを見ればいいのか?
それともこっちの大量のファイル達?
訳が分からずうろうろしているとドアが開き、誰かが中に入ってきた。
「お!草野じゃないか。何してるんだ。授業はどうした」
たしか進路指導の神尾だ。
定年間近のじじい。
こいつに俺の近付くなオーラは見えていないらしい。
進路を相談しやすいと言われているらしいけど。
俺にとってはただのお節介じじい。
まあ、今は調度いい所に来たな。
「南大ってとこの資料どこにある?」
「南大?そんなの見てどうするんだ」
「いいから出せ」
ぶつぶつと文句を言いながらも「ほらっ」と言って南大学の資料を出して俺に渡した。
椅子に座って中を見ていると、神尾が覗き込んできた。
「何だよ」
「進学する気になったのか。でもなぁ、お前の頭じゃここは行かれないぞ」
「見てんな。どっか行け」
……。
行かれない、か…。