シンデレラ物語

でも、なぜか神木くんが移動した後も土田さんはあたしの前の席に座っていた。

「土田さんは…移動しなくていいの?」

「あ?あ、アタシが前にいるの嫌?」

金に近い茶髪に決して薄いとは言えない化粧をしている土田さん。

綺麗とか可愛い系よりは
かっこいいとか、サバサバしているタイプなのかもしれない。


「ううん。そんなことないです…。でも…あたしの近く…つまらないよ。」

前に形上の席替えをしたとき、あたしの周りになった人は口をそろえて
「日陰ちゃんの周りはつまらない」
って言っていた。

ショックだったけど、あたしは日陰だから、仕方ないって思っていた。

「つまらないか、つまらなくないかはアタシが決めること。あんたは気にしなくていいんだよ。」

土田さんは、そう言うとあたしの机に肘をついて世間話をしはじめた。




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