シンデレラ物語
女子たちの視線と願いが集中する最後の神木くん。
取った番号は20番。
キャー
って言っている女子と
がっかりしている女子がいた。
でも神木くんは
「誰か36いない?」
と言った。
「36?俺だけど。」
そう言ったのは、運動神経がよく、サバサバしている安藤くんだった。
安藤くんは朝、みんなと挨拶をしていて、あたしにも挨拶をしてくれる人だった。
「交換してくんない?」
「おー、別にいいけど?」
「え!待って!綾香も、じゃあ…あ!日陰ちゃん!交換して!」
「待って!あたしが!」
「私と交換してよ!」
と、あたしの席は神木くんが決まってから一気に人気席になった。
「は?ごめんねー。ここ、アタシたちの席だから。」
あたしの返事の前に返事をしたのは土田さんだった。
「ふふっ…夏世ちゃんに聞いてるわけじゃないのよー。日陰ちゃん、交換してくれるよね?」
名高さんの言葉に土田さんは「はぁ?」と言い始めたけど、あたしはそれを止めて自分で言うことにした。
土田さんと一緒がいいから。
それ以上に
神木くんの隣がいいって思ってる自分がいるから。