シンデレラ物語
「はは…そっか…。」
「はじめて長谷川の笑った顔見たよ…」
あたしは思わず笑った顔を隠した。
それにさっきも呼ばれたけど、王子があたしのことを名字で呼んでくれていたことにびっくりしていた反面、知っている人がいたんだ。と嬉しい気持ちにもなった。
そのときだった
「おっはよー♪あー!王子ぃ、そこじゃなくてこっち来てぇ!」
「え…やだ。」
「やぁーん!来てよぉ!」
「嫌だって。俺、ここがいいから。」
「えー!そんなぁ…。じゃあ絢香がそこ行くぅ!」
「来るなっつーの。」
「いーやーだー♪あ、日陰ちゃん、席替わってくれない?」
あたしの特等席…
「わかったよ。そっち行くから。待ってろ。」
あたしが動こうとする前に王子が動いた。
「えっ…お、神木くん、いいよ。あたしが動く…。」
王子って言いそうになったけど、嫌だって言ってたから、あたしは言わなかった。
「ここはお前の特等席だろ。」
そう王子は笑顔で言って違う席に移った。