ブランケット
「ハウス…楽器触ろうと思って。芙柚は?」
幼なじみってのは、都合が良い。
いくら時が空いたって、お互いを名前で呼び合えるから。
「だ…ダブルデート」
「…え?」
気まずい空気が流れる。
なんだと?
ダブルデートってあれだよな?
男女のカップルが二組揃って…
「友達の人数合わせで呼ばれたんだ」
考えを巡らす俺に、芙柚は呑気にクスクス笑っていた。
芙柚…大丈夫なのか?
素直で馬鹿でのんびりだから、変な男に捕まる気がしてならない。
「変なのに捕まるなよ?」
俺は言う。