ブランケット

あの時、城島くんのネクタイの色を見てびっくりした。

「絶対に別れない!」

「…あのさ?この世に『絶対』なんてないよ」

冷めた声で言った城島くんの声にゾッとして。

だから、一学年下だと分かった時、驚いた。



「…先輩は単に勇気がないだけ」

「勇気がないと友達が出来ないけどね?」

昼休みの終わりのチャイムが鳴った。

「バイバイ、勇気も魅力もある後輩くん」

私は手を振って、屋上の出口に向かう。

「…俺には『大事な物』がないけどね」

そう呟いた城島くんの独り言は届かない。



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