ブランケット
幸四郎のドラムを叩いてる姿を初めて見た。
「…芙柚?」
私は我に返る。
『クレッシェンド』のバンドライブの帰りの電車だった。
「なぁに?」
「いや、ボーっとしてるから」
普段の幸四郎になった幸四郎は、微笑を浮かべている。
「…ニセモノ?」
もしかしたら、さっきのバンドライブの幸四郎はニセモノだった?
私は本気で心配した。
「え?何が?」
逆に心配そうな目で見られてしまったけど。
「あ…えと…幸四郎が」
「俺が?」
「格好良く…なってたから」
なんか、言ってて恥ずかしい。