ブランケット
彼女は疲れたのか、静かにベッドに横になる。
「大丈夫?」
「…うん」
そうして色素の薄い茶色い瞳が上目遣いでこっちを見つめた。
「城島くんは、なんで留年したの?」
「んーと…もう少し躊躇って聞こうよ。危機感がまるでないし」
「だって、頭良い感じに見えるし。特に悪い人といるわけでも…」
確かにそうは見える。
“今”の話。
「俺の場合、出席日数が足んない」
彼女の瞳に陰(カゲ)りが差す。
「え、病気?」
「いやいや、違うよ」
「そっか」
目を細めて、嬉しそうに笑顔を見せる。
「…私、留年しちゃおっかな?」
「は?」
「そしたら、城島くんと一緒に卒業できるもん」
「止めときなよ」
…凄い嬉しいけど。
本当は今この状況も嫌がったとしても、無理矢理襲いたいくらい。
けど、そんな事をして嫌われたら終わりだからさ?