ブランケット

でも、私の誕生日を忘れて“命が誕生する春”なんて。

はぁ、と溜め息を吐いてもう一度カレンダーを見る。

良かった、丸とかハートとか書かなくて。

毎年毎年自分で自分の誕生を祝うのは寂しいし、二年に一回くらいの割合で朝貴と一緒に過ごせれば良い。

平凡で一般庶民な私が、贅沢なんて言えないんだから。

テレビから朝貴が歌う声がする。

朝貴が好きだと思う。
歌う朝貴も寝てしまう朝貴も、少し不機嫌な朝貴も笑う朝貴も。

そして、私を置いていかないと言ってくれた。

…私は。




私は朝貴の足枷になってはいないだろうか?



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