ブランケット

いつも車だから、ここから事務所までそんなにかからないとは思うけど。

こんなに朝早く出るには理由が?

聞いたことがないな、と今更気づく。

「冷えるから、ちゃんと掛けて寝ろよ。」

「うん。」

「戸締まりと火だけはちゃんと確認してくれ。」

「はぁい。」

「行ってきます。」

心配してくれて、ありがとう。

その広い背中を見る度に抱きついて、引き止めたくなってしまう。

私は我が儘だけど。
我が儘にはなれない。








「…朝貴の彼女?」

スーパーで、キャベツの値段に眉を寄せていると。



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