ブランケット
美しい女の人が現れる。
「…の美夜(ミヨ)だっけ?」
私の名前を覚えていてくれたらしい紅乃(クレノ)さん。
紅乃さんは、『クレッシェンド』でキーボード担当のおー君の彼女。
…いや、奥さん?
今度結婚するから婚約者?
「お久しぶりです。」
「久しぶり。」
意外にシャイなうえ、面倒くさがりなこの人が私に話しかけてくれるのは奇跡か何かだ。
そういえば、何か用があったんだろうか?
「どうかしましたか?」
「キャベツ見ながら険しい顔してたから。」
…よくお分かりで。