ブランケット
もちろん、ふり向けなかった。
振り向いたら、また泣いてしまいそうだった。
でも、御津はそうじゃないらしい。
やっぱり、いつだってあたしの方。
あたしは別れて悲しくて泣いてしまったのに。
御津は平気で話しかけられるんだ。
「御津、先生来る。」
振り向く気配のないあたしを助けるように、朔未は言う。
「…休み時間、話あんだけど。」
それだけいって、スッと腕から手が離れた。
あたしが席に座ると、この前駅前の店で御津と一緒にいた子と目が合う。
少し睨まれた気がした。
でも、朔未が舌打ちをしてその子を睨み返していたから、少し可哀想に思う。