ブランケット

壬室くんは少し顔を上げて、ぼーっとする。

兎に角起きてくれて良かった…え?

また寝てる。

「…あの壬室くん。」

「…」

「そんなに眠いの?」

ずっと聞いてみたい事だった。

壬室くんはまた起きて、額に手を当てる。

「…教科書ない。」

…はい?

急に出された呪文みたいな言葉に、私は反応していた。

自分の教科書を壬室くんの机の間に置く。

それから、何故か奇跡的に壬室くんは起きていた。

起きながら寝てるのかとも思ったりした。

だって、ノートも何も出さずに教科書をぼーっと見てるだけだから。

…摩訶不思議な人。




< 34 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop