ブランケット

ずっと前って。

「話はよーく分かった。腕離してから、愚痴でも何でも聞くから。」

俺は懇願した。

「この前、黒い猫見たんだよ。白い猫と喧嘩してた。やっぱり毛の色が反対だと相性…。」

聞いてない。

しかも、大きく話がズレていっている。

次は猫を飛び出し、近所に住むおばさんの話に。

正面に座るアキヒトさんは、完全に傍観者に回ってしまった。

良壱、まだ来ないで欲しい。

無理矢理にでも引き離そうかと思った。

「…あたし、我が儘だから?」

涙を零し始めた。

…この酔い猫、魔性だ。




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