ブランケット
…俺、女に襲われる?
本気でそう思った。
でも、那瑠は直ぐに離れる。
正確には離された。
襲われそうになったのを助けてくれたのは、良壱だった。
見た瞬間、険しい顔をしていたけど那瑠は見上げて困惑した目。
良壱に両腕を持たれて、宙ぶらりんとなっている那瑠は、良壱と反対方向になっている。
つまり、那瑠は良壱の顎を困惑している目で見ている。
…なんだこの状況。
俺とアキヒトさんと良壱と那瑠の間だけに、沈黙の空気が流れる。
「…良壱だー。」
何を思ったのか、は分からないけど那瑠はニコニコと言う。
「…誰に泣かされたんだよ。」
低い声で不機嫌な良壱。