ブランケット
俺の背中を見た殆どの女は目を見開く。
背中に刻み込まれた刺青の鷹。
抱いた女は、すぐに離れていった。
だから、名前なんて覚えるだけ無駄。
俺の名前自体、どこまで知れ渡っているのか分からないのだから。
「好きです。」
初めてそんな言葉を吐いたあんたも、俺から離れていくんだろう?
俺は無視するように、煙草をくわえる。
「…って言っても、あなたは次に私に会った時覚えてはいないんでしょうね?」
当然、というように笑いながら女は言った。
「覚えてねぇな。」
当然、というように俺は答えた。