ブランケット
篠原亜利哀は小さく舌打ちをした。
「…どうしました?」
この女が、舌打ちをする時は碌でもない事が起きる。
黒川茨はシートに凭れかかりながら、目を瞑る亜利哀に目を向けた。
「結構な数。一台で撒ける?」
「なんとか。」
運転手はプロ。
なんたって、篠原グループの亜利哀様に仕える運転手なのだから。
茨はスモーク張りの窓の外を見る。
黒い髪と黒い眼は、夜と間違えてしまいそうな程深い。
さっきまで乱闘場にいたこの女も冷静でいる。
「…そういやさ?」
窓の外からは視線を背けず、茨は声を発する。