ブランケット

一種の諦め。

外が静かになった。

茨はまた車に乗り込む。

「ちょっと、近付いて誰のか分からない血つけないでよ。」

隣に座る茨に亜利哀は容赦なく言った。

「はいはい、御嬢さん。ねぇ近くのホテルで降ろしてよ。」

運転手に軽口を叩く。

繁華街の入り口にさし掛かったところで、亜利哀は窓の外を見た。

あの姿は、大原雨水。

同じ中学に通う、最近話すようになった女子。

「死ね」と言われたら、本当に死んでしまいそうな…儚い子。

何故この時間に雨水がここに?

夜遊びはしないように見えたけど実は…なんて事はなく、普通の服を着ているし。



< 66 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop