ブランケット
何か、と後ろを向くと同時に鼻をぶつけた。
目の前には黒いパーカー。
「へぇ…いいな。俺も連れてけよ?」
低い声にかなり不機嫌だと分かる。
「…と、朝貴?」
「何だよ。」
何だよじゃないよ、君。
「携帯の電源切りやがって。」
…あら。
私はポケットから携帯を出す。
もちろん、切ったままになっていた。
「忘れてた。」
「うわ、馬鹿だね。」
前にいるオウ君までもが貶してくる。
「…では、邪魔は撤収しますか。」
じゃあな。と手を振ったオウ君は、階段を上がって見えなくなった。