ブランケット

私はにっこりと笑いかけて言う。

「気合い、入ってますね。」

「だって、最後の試合だし。」

「…最後?」

喉の奥に引っかかる言葉。

何かいやな予感がした。

「あぁ。俺来週引っ越すんだ、だからサヨナラ試合。」

引っ越し?

言った事が理解出来なかった。

「冗談ですよね。」

「本当だよ。だから、一年マネージャーともお別れだ。」

寂しい。

寂しくて、たまらない。

今すぐ泣き崩れてしまいそうだった。

“うん、冗談だよ”と嘘でも言ってもらえたら、私は。

私は、今笑えていたのかな?




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