ブランケット
「…最低」
本当にお互い、第一印象は最悪だったんじゃないかと思う。
「…千晴?」
目を覚ますと、横に千晴の姿がなかった。
起きる時に、傍に人がいないと寂しい。
辺りを見回しても、薄暗い部屋に千晴はいなかった。
「千晴?」
もしかしたら、仕事に行ってしまったのかもしれない。
行く時は起こして欲しいって言ってるのに。
「千晴…」
それでも我慢出来ないあたしは、何回も名前を呼ぶ。
名前を呼べば、千晴が帰ってくる訳じゃないのに。
「ちは…」
「泣き虫」
…まだ泣いてない。