ブランケット
「最低」
あたしは眉を歪めた。
美人だから美人だから…って。
「あ?」
「邪魔、どいて」
最低最低最低!
その日、午後の授業をサボった。
何日後かに、また桜ヶ峰千晴に会った。
「確かに美人だな」
商店街の道でバッタリだったけど。
珍しく一人だった。
「…はぁ?」
煙草、飲酒、喧嘩、女遊び…と、色々悪い事をやっているらしい桜ヶ峰千晴。
それに怯まずに馬鹿にしたような声を上げられたのは、まだイライラしている所為か。
「名前…紅乃(クレノ)だよな?」
あたしの名前、そして続けた。
「なぁ、俺の女になれ」
それは今まで一番強引な告白だった。