ブランケット

沈黙が怖いと思ったのは初めて。

「そ…それだけ」

自分で言ってる意味が分からない。

「おま…病院は?」

驚いた顔をした千晴はあたしを剥がそうとする。

それでも、しっかりと捕まってた。

この手を離せば次はもう会わないと決めたから。

「行った」
「一人で?」
「一人で」

「…ごめん」

違う。
あたしが聞きたいのは、そんな言葉じゃない。

「…ごめんね、バイバイ」

笑って、『元気でな』って言って欲しい。

そしたら…もう頑張って一人で歩いていけるから。

「…もういいよ」

けれど、千晴からはその言葉が出る気配はない。



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