春風
夕方まで図書館に居て、一緒に帰る。
途中で河原に座って、話す。
「…お前はさ、何か夢あんの?」
「何?急に。そうねぇ…
あ、柚のお嫁さん!!」
「ばーか。」
「何よぉ…本気なんだから。」
「ごめんごめん。そう拗ねるなよ。」
「じゃあ、柚の夢は何?」
「俺?」
「人に聞く位なんだから、
自分にだってあるでしょ?」
「…そうだなぁ。
この体治して、医者になって、
真桜を……」
「あたしを?」

続く沈黙。
やがて、言った。
「やっぱ言わない。」
「…は?何、それ。
気になるじゃない。」
「俺が18になった時に言う。」
「…えー、何かずるいっ。」
「それまで楽しみに待ってろよ。」
「解った…。」


あたしは気づいていなかった。
彼が言葉を止めた理由も、
彼の言葉の本当の理由にも…


ごめんなさい。
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