春風
それからあたしは、
柚に色々と教えてもらった。
長い話は元々聞くのが
苦手なあたしだけど、
柚の話なら、真剣に聞けた。
だって勉強しなきゃって思えるから。
学校の勉強はからっきし
ダメなんだけどね。

「…ねぇ、柚。
あたし、柚としたい事
いっぱいあるの。
手を繋いだり、
もっといっぱい喋りたい。
長い時間一緒に居たいの。
だから、負けないでね。
生きてよ。」
「解ってるよ。」
「…不安な事もあるけど、
一緒に頑張ろう。
…って、あたしは側に
いることしか
出来ないけど。」
「それで十分だよ。ありがとな。」
「うん…。」


柚はあたしをベッドの上に
登らせてくれて、
その後ぎゅっと抱き締めて、
それからほっぺたにキスしてくれた。
幸せだった。
それからあたしは、
柚の回復を待って
一緒に教室へ帰った。
もちろん、手を繋いで。
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