春風
それは、あたしが
売店で柚に何かを
買っていこうと
していた時だった。


ロビーで話す
大人たちの声が聞こえた。
全然知らない人
だったけど、
話題は柚の事だった。


「柚くん、可哀想にね…。」
「本当に。」
「あの子、病気で
18まで生きられるか
解らないんでしょう?」

(えっ…?)


頭を鈍器で
殴られたような衝撃が走る。


(柚が…病気!?)


そりゃ入院してるんだから
どこかは悪いだろうと
思っていたけど、
そんなに深刻な
ものだとは思わなかった。


すぐに出てこれる
ものだって
思い込んでたんだ…。
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