春風
その後、柚は割とすぐに
目を覚ましたけど、
そっぽを向いたままだった。
あたしは後悔の気持ちで
いっぱいだった。
「…ごめん、柚…。」
「…。」
「機嫌、直して。」
「謝ればいいって
もんじゃないだろ。」
「…じゃあ、
どうすればいいの?」
「そうだな…
何でも一個、
俺の願いきいてよ。」
「柚のお願い…何?」
「…真桜をずっと抱き締めさせて。」
「えっ…?」
「今は抱き締めたい
気分なんだよ。
上がってきて。」
あたしは言われた通りに、
ベッドの上に上がった。
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