春風
柚は図書館に居た。
おどかさないように
近づき、近くに座る。
「おぅ、用は
終わったのか?」
「…うん。
ねぇ、一個訊きたい事が
あるんだけど。」
「何だよ。」
「…柚はさ、
修学旅行、行きたい?」
「何を急に。
そりゃ行けるもんなら行きたいよ。
けど、俺は…無理だろ。
金だってねぇし。」
「…あたし、柚を連れていきたい。
皆と思い出、たくさん作って
あげたいの。」
「…真桜。」

あたしはじっと
柚を見つめていた。
やがて、柚が
ひとつため息をついた。
「…解ったよ。
行けばいいんだろ?
まったく、
お前には参るよ。」
「…ありがと。」

こうして、柚の気持ちを
聞いたあたしは、
おばさんの所へ向かった。
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