春風
その会話から、
数日したある日の事。
あたしは柚に
呼ばれて病室に居た。

「用って、何?」
「ちょっと、目ぇ閉じて。」
「?…うん。」
あたしは言われるがまま、
目を閉じて待った。
「左手貸して。
まだ開けるなよ?」
「うん…」
あたしは左手を差し出す。
何かが、指に触れた。


「開けていいよ。」
あたしは目を開けた。
「左手、見てみ。」
言われた通りに左手を見た。
そこには…


キラキラと光る
シルバーの指輪。


「…っ…いいの!?」
「おう。安もんだけどな。」
「それでも嬉しいよ!」
「良かった。」
「ありがとう、柚。」
柚は笑っていた。
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