春風
どれだけの時間が
経ったのだろうか。
とてつもなく長い時間が
経った気がする。


その時、医師が
出てきて行った。
「…ご家族の方お入り下さい。」

あたしたちは恋人と親友。
家族ではない。
すると、佳佑くんが言った。
「…この子もいいですか?
もう、立派な家族だから…。」
「佳佑くん…。」
「…行ってこい。
そんであいつの目、
覚まさせてやってくれ。」
「…ありがとう。」

あたしはお母さんと
処置室へ入った。
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