極上の★スイートラバー
そんなあたしを見た先輩は、安心したように微笑む。
「約束だからな。じゃ、俺行くわ」
あたしの頭をくしゃくしゃと撫でると、あたしの手を解いて屋上を去っていく。
その後ろ姿を、あたしは呆然としたまま眺めていた。
…あたし、先輩に言われちゃった。
あたしの為に気持ち込めて演奏するって、そう言われちゃった。
「―――うぅっ…」
顔を真っ赤にしたあたしは、鼻から赤い何かが吹き出て行くのが分かった。
そっか。これ鼻血だ。
先輩が居る時に、鼻血出さなくてよかった。
そんな事をぼんやりと考えている時に、本鈴のチャイムが学校中に鳴り響いていく。
チャイム音を気にしないまま物思いにふけっていたあたしが、午後の授業もサボって担任からドでかい雷を喰らった事は、誰にも秘密だけどね。
.