極上の★スイートラバー



それでも、大盛り上がりのライブは続いていく。


折角先輩がくれたチャンスなんだから…と、あたしは気持ちを切り替えてステージを見る。



…今度は猛先輩だけでなく、メンバー全員を。




「今日のライブ、めっちゃ楽しみにしててさ。ドラムのライなんか、ステージに上がるまでずっと手のひらに「人」って漢字を書いて、飲み込んでたんだよな」




ライブも後半戦に突入してきた頃。


ボーカルのユウトさんが、にこやかにMCを進めていく。


ステージと観客席が一体化したみたいで、なんだか胸の奥が熱くなっていく。




「という訳で、タケル、何か話せよな!」



「…え?」




そんなあたしの疑問の声など、周りの人には一切聞こえていない。


ライブハウスという環境が、そんな反応をさせていた。



いきなりの展開に驚くあたしをよそに、猛先輩は自分の目の前に設置されているマイクを手に取ると、目を細めて優しく話し出した。




.
< 28 / 48 >

この作品をシェア

pagetop