極上の★スイートラバー
それでも、大盛り上がりのライブは続いていく。
折角先輩がくれたチャンスなんだから…と、あたしは気持ちを切り替えてステージを見る。
…今度は猛先輩だけでなく、メンバー全員を。
「今日のライブ、めっちゃ楽しみにしててさ。ドラムのライなんか、ステージに上がるまでずっと手のひらに「人」って漢字を書いて、飲み込んでたんだよな」
ライブも後半戦に突入してきた頃。
ボーカルのユウトさんが、にこやかにMCを進めていく。
ステージと観客席が一体化したみたいで、なんだか胸の奥が熱くなっていく。
「という訳で、タケル、何か話せよな!」
「…え?」
そんなあたしの疑問の声など、周りの人には一切聞こえていない。
ライブハウスという環境が、そんな反応をさせていた。
いきなりの展開に驚くあたしをよそに、猛先輩は自分の目の前に設置されているマイクを手に取ると、目を細めて優しく話し出した。
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