極上の★スイートラバー



マイクを持ったまま何かを考え込んでいる先輩は、なんだか微笑ましそう。




「…この曲は、生まれて初めて俺が作詞した曲です。しかも、俺には似合わないような、恋愛をモチーフにした可愛らしい曲を書いてしまいました」




照れながら発言する先輩を、オーディエンスの人達は「可愛いー!」と声を上げている。


あたしは、ただ声を無くしていた。


先輩がラブソングを書くなんて…なんだか不安になってくる。



…猛先輩には、好きな人がいるの?

それを知らないで、あたしは毎日アタックしてたっていうの?



そんなの…なんだか情けなさ過ぎるよ。



ずっと、あたしは先輩が振り向くまで頑張るんだ!と意気込んでいたけど…


あんな先輩の照れたような表情を見てしまうと、その決心が揺らぐじゃん。



現実を知ってしまったあたしは、どうすればいいんだろう。




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